この記事の結論

SCS評価制度は、2027年3月頃にいよいよ実務レベルの★3・★4が運用を開始します。★3は専門家確認付き自己評価で多くの中小企業の標準ゴール、★4は第三者評価で機密情報を扱う受注者向けです。26項目の実装とエビデンス整備には数ヶ月かかるため、運用開始を待たず「今」からMFA・EDR・バックアップ・資産管理・文書整備に着手することが、取引先からの要求に余裕を持って応えるための最短ルートです。

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SCS(サプライチェーン・サイバーセキュリティ)評価制度は、★1・★2の自己宣言レベルから、いよいよ実務レベルである★3・★4が2027年3月頃に運用を開始します。「取引先から★3を求められそうだが、何から準備すればいいのか分からない」という相談が急増しています。本記事では、★3と★4の違い、申請の流れ、運用開始直前にやるべきことを、中小企業の目線で整理します。

★3・★4の運用開始スケジュール

SCS評価制度は段階的に運用が始まります。2026年8月時点で公表されている想定スケジュールは以下のとおりです。

レベル評価方法運用開始(想定)位置づけ
★1・★2自己宣言運用中SECURITY ACTION相当。すべての中小企業の出発点
★3専門家確認付き自己評価2027年3月頃サプライチェーン参加企業の標準レベル
★4第三者評価2027年3月頃機密情報を扱う・システム接続のある受注者
★5第三者評価検討中重要インフラ・防衛関連等の最高位
「申請方法の公開」と「運用開始」を混同しない

2026年10月頃に公開されるのは★3・★4の申請方法であり、この時点では申請できません。実際の申請受付開始は2027年3月頃です。その間に、評価機関の公開(2026年12月末頃)、セキュリティ専門家の公開(2027年1月以降)が予定されています。日程は経産省・IPAの公表で変動するため、最新情報は必ず一次情報をご確認ください。制度の全体像は「SCS評価制度が2026年度末に本格運用開始」で解説しています。

★3と★4の決定的な違い

★3と★4を分ける最大のポイントは「自己評価」か「第三者評価」かです。準備の負荷もコストも大きく変わります。

観点★3(専門家確認付き自己評価)★4(第三者評価)
要求事項26項目(標準的なサイバーハイジーン)43項目(★3+リスク評価・監視・委託先評価等)
評価者自社による自己評価指定された評価機関による審査
エビデンス自社で保管(申請時に提出は限定的)第三者へ提示・監査対応が必要
準備期間の目安3〜6ヶ月6〜12ヶ月
主な対象多くの中小サプライヤー重要情報・基幹システムに関与する受注者

多くの中小企業にとっては、まず★3の取得が現実的なゴールです。★4は取引先から明確に要求された場合や、機密度の高い業務を受託している場合に検討します。★3の26項目の詳細は「★3の要求事項26項目チェックリスト」、取得手順は「★3取得の進め方」を参照してください。

★3申請の流れ(5ステップ)

  1. 現状把握(ギャップ分析):26項目に対して自社が「できている/できていない」を棚卸し。MFA・EDR・パッチ管理・バックアップ・資産台帳・インシデント対応計画などを確認
  2. 不足対策の実装:未対応項目を技術・運用・文書の3面で整備。Microsoft 365 Business Premiumで技術要件の多くをカバー可能
  3. エビデンスの整理:各項目について「設定画面のスクリーンショット」「規程文書」「運用記録」を証跡として保管
  4. 自己評価の実施:制度のチェックシートに沿って自己評価を行い、達成状況を記録
  5. 申請・宣言:運用開始後、所定のポータルから★3を申請・公表
★1・★2からの積み上げが近道

いきなり★3を目指すより、まずSECURITY ACTION(★1・★2相当)を済ませておくと、基本方針の策定や5か条の対応が完了し、★3のギャップが小さくなります。SECURITY ACTIONからSCSへの移行ガイドもあわせてご覧ください。

運用開始前の「今」やるべき直前チェックリスト

運用開始を待たずに、今から着手できることがあります。以下は2027年3月頃の運用開始までに済ませておきたい項目です。

領域直前にやることMicrosoft 365での対応
認証全ユーザーのMFA必須化、管理者の特権保護Entra ID 条件付きアクセス/セキュリティの既定値群
端末EDRの全端末展開、資産台帳の自動化Defender for Business+Intuneインベントリ
更新管理OS・アプリのパッチ適用状況の可視化Intune/Autopatch
バックアップ重要データの定期バックアップと復旧テストM365 Backup+サードパーティ
体制・文書インシデント対応手順・連絡体制の文書化—(規程整備・訓練)
教育フィッシング訓練・年次セキュリティ教育Attack Simulation Training

よくある誤解

  • 「ISMSを取っているから★3は不要」→ 評価軸が異なります。ISMS/Pマークとの違いは「SCSとISMS・Pマークの違い」で整理しています
  • 「★3は申請すればすぐ取れる」→ 26項目の実装とエビデンス整備に通常3〜6ヶ月。運用開始直前の駆け込みでは間に合いません
  • 「★3は自己評価だけで完結する」→ ★3は専門家確認付き自己評価です。評価作業は社内で進められますが、その結果をセキュリティ専門家に確認してもらう工程が必要です。社内に専門家がいない場合の進め方は「専門家なしでSCSに対応する方法」を参照
  • 「CMMCと同じ」→ 似ていますが別制度です。違いは「SCSとCMMCの違い」で解説

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よくある質問

★3と★4はいつ始まりますか?

いずれも2027年3月頃の運用開始が想定されています。★1・★2はSECURITY ACTIONに基づく自己宣言としてすでに運用中です。

★3と★4の決定的な違いは何ですか?

★3は26項目(標準的なサイバーハイジーン)を自社で自己評価しエビデンスは自社保管ですが、★4は43項目(★3+リスク評価・監視・委託先評価等)を指定された評価機関が審査し、エビデンスを第三者へ提示する必要があります。

★3の申請はどう進みますか?

①現状把握(26項目に対してMFA・EDR・パッチ管理・バックアップ・資産台帳・インシデント対応計画などを棚卸し)、②不足対策の実装(技術・運用・文書の3面で整備)、③自己評価、④専門家確認、⑤申請という5ステップです。

よくある誤解は何ですか?

「ISMSを取っているから★3は不要」という誤解と、「★3は申請すればすぐ取れる」という誤解です。ISMSとは評価軸が異なり、26項目の実装とエビデンス整備には通常3〜6ヶ月かかるため、運用開始直前の駆け込みでは間に合いません。

まとめ

SCS評価制度は、2027年3月頃にいよいよ実務レベルの★3・★4が運用を開始します。★3は専門家確認付き自己評価で多くの中小企業の標準ゴール、★4は第三者評価で機密情報を扱う受注者向けです。26項目の実装とエビデンス整備には数ヶ月かかるため、運用開始を待たず「今」からMFA・EDR・バックアップ・資産管理・文書整備に着手することが、取引先からの要求に余裕を持って応えるための最短ルートです。