IT部門を立ち上げるべきタイミング

以下のような兆候が複数見られたら、IT専門の体制を構築すべきタイミングです。

  • 従業員が50名を超え、PC・アカウントの管理が追いつかない
  • 入退社のたびにPCセットアップ・アカウント作成が混乱する
  • セキュリティインシデント(ウイルス感染、フィッシング被害)が発生した
  • 「ITのことは○○さんに聞いて」と特定個人に依存している
  • SaaSが乱立し、全体のIT支出が把握できない
  • テレワーク対応でVPN・リモートアクセスの管理が必要になった

多くの場合、従業員30〜50名がIT部門の立ち上げを検討すべきラインです。もちろん業種(IT企業や金融業はより早い段階で必要)やセキュリティ要件によっても異なります。

最初の90日間でやるべきこと

Day 1-30:現状把握フェーズ

  1. IT資産の完全な棚卸し — PC、SaaS、ネットワーク機器、契約情報をすべてリスト化
  2. IT支出の可視化 — クレジットカード明細・経費精算からIT関連支出を抽出、月額・年額を把握
  3. セキュリティリスクの洗い出し — MFA未設定のサービス、退職者の残存アカウント、古い機器を特定
  4. 社員ヒアリング — 各部門のIT課題・要望を聞き取り、優先順位付けの材料にする

Day 31-60:基盤整備フェーズ

  1. 緊急セキュリティ対応 — MFA全社導入、退職者アカウント削除、管理者パスワードの変更
  2. ヘルプデスクの仕組み構築 — 問い合わせ窓口の一本化(メール or Slack/Teamsチャネル)、対応履歴の記録開始
  3. 入退社プロセスの標準化 — PC準備、アカウント作成/削除のチェックリスト作成
  4. バックアップ体制の確認・構築 — 重要データのバックアップ設定と復旧テスト

Day 61-90:運用安定化フェーズ

  1. IT運用ドキュメントの整備 — ネットワーク構成図、管理者情報一覧、運用手順書の作成
  2. SaaS整理 — 重複ツールの統合、不要ライセンスの解約
  3. IT戦略ロードマップの策定 — 今後6〜12ヶ月のIT投資計画を経営陣に提案
  4. 定期運用タスクの確立 — 月次のセキュリティチェック、四半期のIT資産棚卸し

IT部門に必要なスキルセット

スキル領域具体的な内容優先度
ID管理・認証Microsoft 365 / Google Workspace管理、MFA設定、SSO最優先
ネットワークWi-Fi、VPN、ファイアウォールの基本管理
セキュリティEDR運用、インシデント対応、脆弱性管理
デバイス管理PC初期設定(キッティング)、MDM運用、OS更新管理
ヘルプデスク社員からの問い合わせ対応、障害切り分け
ベンダー管理SaaS契約管理、外部ベンダーとの折衝

内製 vs アウトソーシングの判断基準

すべてを社内で賄う必要はありません。以下の判断基準で内製・外注を使い分けましょう。

内製が向いている領域アウトソーシングが向いている領域
業務内容経営に直結するIT戦略策定、社内政治を伴う調整定型的なヘルプデスク、セキュリティ監視、デバイスキッティング
スキル汎用的なITスキル専門性の高いセキュリティ、ネットワーク設計
コスト正社員1名: 年間500〜700万円アウトソーシング: 月額18〜60万円(範囲による)
採用難易度IT人材の採用は困難。中小企業では特にアウトソーシングなら即日〜1ヶ月で開始可能

現実的なモデルとしては、社内にIT責任者(CIO/ITマネージャー)を1名置き、実務はアウトソーシングという組み合わせが、中小企業にとってコスト効率と品質のバランスが最も良い構成です。

IT部門立ち上げでよくある失敗

  • 兼務のままスタート — 総務部長がIT兼務のまま「IT部門を作った」とするケースは形骸化しやすい。専任でなくとも、業務時間の50%以上をIT業務に充てる体制を確保
  • ヘルプデスクだけで終わる — 目の前の問い合わせ対応に追われ、セキュリティ強化やIT戦略に手が回らない。定型業務こそアウトソーシングで外出しすべき
  • 経営陣の理解不足 — 「ITはコストセンター」という認識のままでは予算も権限も得られない。IT棚卸しの結果を使い、リスクとROIを定量的に示す
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まとめ

IT部門の立ち上げは、最初の90日間が最も重要です。現状把握→基盤整備→運用安定化の3フェーズで進め、内製とアウトソーシングを適切に組み合わせましょう。すべてを1人で抱え込む必要はありません。