ひとり情シスとは

「ひとり情シス」とは、企業のIT業務全般を1人の担当者が担っている状態を指す言葉です。中小企業では、専任のIT部門を設ける余裕がなく、総務や経理と兼務する形でIT担当者が1人だけ配置されているケースが非常に多く見られます。

さらに深刻なのが「ゼロ情シス」——IT専任の担当者が1人もいない状態です。社内に詳しい人が片手間で対応していたり、社長自らがルーターの設定をしていたりする企業も珍しくありません。

IPA(情報処理推進機構)の調査によれば、従業員300人以下の企業において、IT人材が「大幅に不足している」「やや不足している」と回答した企業は約8割にのぼります。ひとり情シス・ゼロ情シスは、中小企業にとって構造的な課題なのです。

ひとり情シスが抱える5つの課題

① 属人化リスク ── 担当者の退職で業務が止まる

最も深刻な課題は属人化です。サーバーの管理者パスワード、ネットワーク構成の詳細、SaaSの契約情報——これらがIT担当者の頭の中にしかなく、ドキュメント化されていないケースが非常に多いです。この状態でIT担当者が退職すると、パスワードの再発行、設定の再調査など、膨大な復旧作業が発生します。

② セキュリティ対策の不備

ひとり情シスでは、日々のヘルプデスク対応に追われ、セキュリティ対策が後回しになりがちです。ウイルス対策ソフトの更新確認、退職者アカウントの棚卸し、セキュリティパッチの適用——本来は継続的に行うべきこれらの作業が、人手不足のために放置されることがあります。中小企業を狙ったランサムウェア被害が年々増加している中、これは経営リスクに直結します。

③ 戦略的IT投資ができない

「PCが動かない」「プリンターが印刷できない」といった日常の問い合わせ対応に時間を取られ、DX推進やIT戦略の策定といった経営に直結する仕事に手が回らないのがひとり情シスの実態です。本来、IT担当者は企業のIT投資を最適化し、業務効率を改善する戦略的な役割を担うべきですが、現場対応に忙殺されてしまいます。

④ IT投資の全体最適ができない

部門ごとに個別にSaaSを導入した結果、似たような機能のツールが乱立し、全社のIT支出が見えない状態に陥るケースもあります。ひとり情シスでは、全体を俯瞰してコスト最適化を図る余裕がなく、ツールの重複や無駄なライセンス費用が放置されてしまいます。

⑤ 担当者の負担とバーンアウト

すべてのIT業務を1人で背負う精神的・体力的な負担は大きく、長時間労働やストレスによるバーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクがあります。結果としてIT担当者が退職し、①の属人化リスクが顕在化する——という悪循環に陥ります。

ひとり情シスを解消する3つの解決策

解決策1:IT運用の文書化・標準化

まず取り組むべきは、現在のIT環境・運用プロセスの可視化です。ネットワーク構成図の作成、管理者パスワードの一元管理、SaaS契約の一覧表作成など、「担当者の頭の中にしかない情報」を文書に落とし込みましょう。これだけでも退職時のリスクは大幅に軽減されます。

解決策2:SaaSの活用によるIT業務の効率化

IT資産管理ツール、MDM(モバイルデバイス管理)、ID管理ツールなどのSaaSを導入することで、手作業で行っていたIT業務を自動化・効率化できます。例えば、Microsoft 365のIntuneを使えばPCのセットアップやソフトウェア配布を一元管理でき、入退社時のアカウント管理もActive Directoryで効率化できます。

解決策3:アウトソーシングの活用

もっとも効果的かつ即効性のある解決策が、情シス業務のアウトソーシングです。IT運用のプロフェッショナルに業務を委託することで、属人化リスクの排除、セキュリティ水準の向上、コスト最適化を同時に実現できます。

情シスアウトソーシングを選ぶときのポイント

アウトソーシング先を選定する際は、以下のポイントを確認しましょう。

  • 対応範囲の広さ — ヘルプデスクだけでなく、セキュリティ、IT戦略まで対応できるか
  • コミュニケーション手段 — Slack・Teamsなど普段のツールで連携できるか
  • セキュリティ実績 — 官公庁・金融など厳格な業界での導入実績があるか
  • スケーラビリティ — 会社の成長に合わせてサービスを拡張できるか
  • 料金体系の透明性 — 月額固定か、従量課金か、追加費用の発生条件は明確か
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まとめ

ひとり情シスは中小企業の約7割が抱える構造的な課題です。属人化リスク、セキュリティの脆弱性、戦略的IT投資の不足——これらの問題を放置することは、経営リスクの放置と同義です。

まずはIT環境の文書化から始め、SaaSの活用で効率化を図りつつ、必要に応じてアウトソーシングを検討しましょう。「ひとり」で抱え込む必要はありません。