中小企業における生成AIの現状
ChatGPTの登場以降、生成AIは急速にビジネスの現場に浸透しています。しかし中小企業においては、「興味はあるが導入していない」「個人的に使っている社員はいるが、会社としてのルールがない」という企業がまだ大多数です。
生成AIの導入が進まない最大の理由は「情報漏洩への不安」と「何に使えるかわからない」の2つです。特にセキュリティ面の懸念は経営者にとって大きく、無料版のChatGPTに社内情報を入力してしまうリスクを考えると、「禁止」という判断をしてしまう企業も少なくありません。
しかし、適切なツール選定とセキュリティ設定を行えば、中小企業でも安全にAIを活用できます。本記事では、代表的な2つのツール——ChatGPTとMicrosoft Copilotを比較し、自社に最適な選択をするための判断基準を解説します。
ChatGPT vs Microsoft Copilot 徹底比較
| 比較項目 | ChatGPT(Team/Enterprise) | Microsoft 365 Copilot |
|---|---|---|
| 提供元 | OpenAI | Microsoft |
| 月額料金(1ユーザー) | Team: 約$25 / Enterprise: 要問合せ | 約$30(M365ライセンス別途) |
| データ学習への利用 | Team以上はオプトアウト | 利用しない(テナント内完結) |
| 社内データ連携 | API経由で可能 | SharePoint, Teams, Outlookと直接連携 |
| 得意な用途 | 文章生成、リサーチ、コーディング | 社内文書の検索・要約、メール下書き、会議要約 |
| 導入のしやすさ | アカウント作成ですぐ利用可能 | M365環境の整備が前提 |
| カスタマイズ性 | GPTs、API連携で高い拡張性 | M365エコシステム内で高い統合性 |
ChatGPTが向いている企業
- Microsoft 365を導入していない、またはGoogle Workspaceを使っている
- 文章作成、翻訳、リサーチなど汎用的な用途が中心
- API連携で独自のAIワークフローを構築したい
- まずは少人数で試したい(Teamプランは2名から)
Microsoft Copilotが向いている企業
- すでにMicrosoft 365を全社で利用している
- SharePointやTeamsに蓄積された社内データをAIで活用したい
- メール作成、会議要約、Excel分析など日常業務の効率化が目的
- データを社外に出したくない(テナント内で完結)
選び方の判断基準
どちらを選ぶべきかは、以下の3つの観点で判断できます。
判断基準①:現在のIT環境
Microsoft 365をすでに全社で使っているなら、Copilotの方が自然です。社内のSharePoint、Teams、Outlookのデータとシームレスに連携できるため、導入後すぐに効果を実感できます。一方、Google Workspaceの企業はGeminiまたはChatGPTが現実的な選択肢です。
判断基準②:主な活用シーン
「社内文書の検索・要約をしたい」「会議の議事録を自動生成したい」ならCopilot。「マーケティングコンテンツを作りたい」「コードを書きたい」「リサーチを効率化したい」ならChatGPTが強みを発揮します。
判断基準③:セキュリティ要件
機密性の高い情報を扱う業界(金融、医療、法律など)では、データがテナント内に留まるCopilotが有利です。ChatGPT Enterprise/Teamもデータ学習に使われない契約ですが、「Microsoftのテナントから出ない」という安心感はCopilotならではです。
中小企業のAI導入 4ステップ
- AI利用ポリシーの策定 — 何を入力してよいか、禁止事項は何かを明文化。全社員に周知します。
- パイロットチームでの試行 — 5〜10名の小規模チームで1〜2ヶ月間試用し、効果と課題を洗い出します。
- 活用シナリオの具体化 — パイロットの結果をもとに「議事録作成で月○時間削減」など定量的な効果を測定します。
- 全社展開と研修 — 部門別のワークショップを実施し、各部門に合った活用方法を定着させます。
よくある失敗パターン
- ツール導入で満足してしまう — ライセンスを購入しただけで使い方を教えず、結局一部の人しか使わない
- ルールなしで使い始める — 社員が機密情報を無料版に入力してしまい、情報漏洩リスクが発生
- 全社一斉導入 — パイロットなしで一気に展開し、サポートが追いつかず現場が混乱
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まとめ
ChatGPTとMicrosoft Copilotはそれぞれ強みが異なります。自社のIT環境、活用シーン、セキュリティ要件を整理した上で、パイロット導入から始めるのが成功の鍵です。ツール導入はゴールではなくスタート——業務への定着まで見据えた計画を立てましょう。