プリンター管理の課題
プリンター・複合機は情シスにとって最も問い合わせが多く、コスト管理が甘くなりがちなIT資産です。「紙詰まり」「トナー切れ」「印刷できない」といったトラブル対応に加え、契約の見直しが行われないまま割高な保守契約が継続しているケースが少なくありません。
- コストのブラックボックス化:1枚あたりの印刷コストを把握していない企業が大半
- 不要な印刷:カラー印刷の多用、ミスプリント、不要なドキュメントの印刷
- 台数の最適化不足:部門ごとに複合機を設置し、稼働率が低い機器がある
- テレワーク対応:在宅勤務者のプリント環境、クラウドからの印刷
印刷コストの可視化
| コスト項目 | 相場(A4 1枚) | 年間コスト例(月5,000枚) |
|---|---|---|
| モノクロ(カウンター料金) | 1〜3円 | 6〜18万円 |
| カラー(カウンター料金) | 8〜15円 | 48〜90万円 |
| リース料 | — | 月額1.5〜5万円(年18〜60万円) |
| 保守料 | — | カウンター料金に含まれることが多い |
| 用紙代 | 0.5〜1円 | 3〜6万円 |
💡 印刷コスト削減の第一歩
まずは複合機の管理画面からカウンター数を確認しましょう。月間印刷枚数(モノクロ/カラー別)を3ヶ月分集計するだけで、コスト構造が見えてきます。カラー比率が30%を超えている場合、カラー制限だけで年間数十万円のコスト削減が可能です。
複合機契約の見直し
チェックポイント
- カウンター単価:モノクロ1.5円以上、カラー12円以上なら交渉の余地あり
- 最低カウンター:月間最低枚数の設定がないか確認。実際の印刷枚数が最低枚数を下回っていると割高
- リース残期間:リース満了前に交渉するのがベスト。満了後の再リースは割安になることが多い
- 台数の適正化:稼働率が低い複合機は撤去し、集約。1台あたり30〜50名が目安
- 機能の過剰:使っていない機能(フィニッシャー、大容量トレイ等)に費用がかかっていないか
競合見積りの活用
複合機の契約更新時は最低2〜3社から相見積りを取りましょう。リコー、キヤノン、富士フイルム(旧ゼロックス)、コニカミノルタ、京セラの5社が主要メーカーです。相見積りを取るだけでカウンター単価が10〜30%下がることは珍しくありません。
クラウドプリントの導入
テレワークやクラウドシフトに対応するため、クラウドプリントの導入が増えています。
| サービス | 特徴 | 対応OS |
|---|---|---|
| Universal Print(Microsoft) | M365に含まれるクラウドプリント。プリントサーバー不要 | Windows 10/11 |
| Google Cloud Print後継(各社対応) | 各メーカーが独自のクラウドプリント機能を提供 | 多様 |
| PaperCut | 印刷管理+クラウドプリント統合。コスト集計機能が強い | Windows/Mac/Linux |
M365利用企業にはUniversal Printが最適です。オンプレのプリントサーバーを廃止し、Azure経由でプリンターに直接印刷ジョブを送信できます。
ペーパーレス推進の進め方
| Phase | アクション | 削減効果 |
|---|---|---|
| 1. 現状把握 | 月間印刷枚数、カラー比率、印刷が多い部署を可視化 | — |
| 2. 即効策 | デフォルトをモノクロ・両面に設定、カラー印刷を承認制に | 20〜30%削減 |
| 3. 会議のペーパーレス | 会議資料はTeams/SharePointで事前共有。紙配布を廃止 | 10〜20%削減 |
| 4. 電子契約・電子承認 | 契約書はクラウドサイン、社内承認はPower Automateでデジタル化 | 10〜15%削減 |
| 5. 複合機台数の削減 | 稼働率の低い複合機を撤去し、フロアあたり1〜2台に集約 | リース費削減 |
プリンター運用の最適化
- 印刷ルールの策定:カラー印刷のガイドライン(社外提出資料のみカラー許可等)
- ICカード認証:複合機にICカード認証を導入し、印刷者を特定。放置プリントの削減
- トナー・用紙の在庫管理:複合機のアラートをメール通知設定し、トナー切れを事前に把握
- ドライバー管理:Intuneでプリンタードライバーを一括配布(手動インストールを廃止)
まとめ
プリンター管理は「コスト可視化 → 契約見直し → クラウドプリント導入 → ペーパーレス推進」の順で最適化します。デフォルトのモノクロ両面設定と会議のペーパーレス化だけで30〜50%の印刷コスト削減が見込めます。