この記事の結論

SCS評価制度に未着手の企業がまずやるべきは「自己評価シートの粗い回答」です。Noになった項目を4分類(即解決/文書化/投資/体制)で整理し、A・B項目を30日で潰すことで★1自己宣言の体制を構築できます。完璧を目指さず、まず動き出すことが取引機会の損失を防ぎます。

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「SCSを取らないとマズい」と気付いた経営者へ

★3・★4の運用開始は2027年3月頃に迫っています。取引先から「御社は将来的にSCS格付けを取得できそうか」という照会が届き始め、慌てて社内を確認したものの「うちはまだ何も準備していない」と気付く経営者・情シス担当が増えています。

本記事は、まさに今その状況にある中小企業向けに、自己評価シートで現状を可視化する方法と、★1取得までの30日アクションプランを提示します。完璧を目指さず、まず動き出すことを目的としています。

すでに取引先から回答を求められている場合は、先に取引先から★3を求められたときの初動をご覧ください。また棚卸しの際は自己評価で「できている」と誤認しやすい10項目を突き合わせると、判断のぶれを防げます。

なぜまず「自己評価」から始めるのか

SCS評価制度は★1〜★5の5段階です。★3はセキュリティ専門家が自己評価結果を確認する「専門家確認付き自己評価」、★4は評価機関による第三者評価と技術検証が必要ですが、★1・★2はIPAの「SECURITY ACTION」に基づく自己宣言です。つまり、企業が自社で要件を満たしているかをチェックし、結果を取引先に提示できます。

★1・★2の自己宣言とは

IPAの「SECURITY ACTION」制度を活用します。一つ星は「情報セキュリティ5か条」への取り組みを宣言するもの、二つ星は「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の実施と情報セキュリティ基本方針の策定・公開が要件です。第三者監査も専門家確認も不要で、コストはほぼゼロです。ただし虚偽申告は契約違反のリスクがあるため、回答根拠は社内に保存しておく必要があります。

つまり、最初の30日でやるべきは「自己評価シートに正直に回答する」「Noの項目を可視化する」「Noを30日でYesに変える計画を立てる」の3ステップです。

Day1〜3:チェックリストの入手と棚卸し

① チェックリストを入手する

まずIPAの「SECURITY ACTION」で公開されている「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」(25項目)で現状を粗く把握します。あわせて、IPAが公開しているSCS評価制度の詳細情報から★3の要求事項26件・評価基準81件を入手し、将来のギャップを確認します。★3・★4の申請様式は2026年10月頃に公開予定です。

② 回答の責任者を1名決める

「誰が回答するか」が曖昧だと進みません。情シス担当(兼任で可)を回答責任者とし、社長から正式に任命します。回答に必要な情報を社内から集める権限を付与します。

③ 現状を「Yes/No/不明」の3択で粗く回答する

初回はYesと言い切れない場合はNoまたは不明にするのがコツです。「やっているつもり」「多分Yes」を避けます。3日で全項目を一巡することが目的なので、深く考えずに進めます。

Day4〜10:Noの項目を分類してギャップを可視化

Noになった項目を以下の4分類で整理します。

分類意味対応難度典型例
A: 設定すれば即解決既存ツールの設定変更だけで対応可能低(1日〜1週間)MFA有効化、Defender for Business有効化、自動更新設定
B: 文書化が必要運用は実施しているが文書がない中(1〜2週間)セキュリティポリシー、インシデント対応手順、バックアップ手順
C: 投資が必要追加ライセンス・ツール購入が必要高(1〜3ヶ月)EDR新規導入、ログ管理基盤、SIEM
D: 体制が必要人的リソース・教育の整備が必要高(3ヶ月〜)セキュリティ責任者の任命、全社員教育の実施

Aから順に潰していくことで、初期コストを抑えながら短期で多数の項目をクリアできます。

Day11〜20:A項目(設定変更で解決)の即時実施

★3の要求事項のうち、Microsoft 365 Business Premiumを契約していれば設定変更だけで満たせる項目が多数あります。★1・★2の段階でもこれらを先取りしておくと、後の★3対応が大幅に楽になります。

対策項目M365での設定方法所要時間
MFA必須化セキュリティの既定値群を有効化、または条件付きアクセスでMFA要求30分
EDR導入Defender for Businessをポリシー配信。Intune未導入なら基本ポリシーから2時間
パスワードポリシーEntra IDのパスワードプロテクションを有効化、禁止単語リスト整備30分
未承認デバイス制御条件付きアクセスで「準拠デバイスのみ許可」を設定1時間
OS自動更新Intune Update Ringsで自動更新ポリシーを配信1時間
バックアップOneDrive既知フォルダ移動、SharePointバージョン履歴有効化1時間

Day21〜30:B項目(文書化)の整備

SECURITY ACTION二つ星では「情報セキュリティ基本方針の策定・公開」が要件です。さらに★3では「インシデント対応計画が定められていること」など、文書化を求める要求事項が加わります。ゼロから書く必要はなく、IPAの中小企業向けひな形をベースに、自社の状況に合わせて修正すれば十分です。

  • 情報セキュリティ基本方針:A4 1枚程度。社長承認の押印を入れる
  • セキュリティ運用ルール:パスワード管理、デバイス管理、メール取扱い等
  • インシデント対応手順書:誰が何時間以内に何を判断するかを明記
  • バックアップ運用手順:対象範囲、頻度、復旧テストの実施記録
  • 従業員教育の実施記録:年次セキュリティ研修の実施記録(過去1年分)
文書は「最新版」が確認できるようにしておく

★3の自己評価では、文書が「実態に即して運用されているか」をセキュリティ専門家が確認します。後から検証できる状態にしておくことが重要です。改訂履歴を残し、最新版を共有フォルダ(SharePointやBox)の所定の場所に置いておきます。紙のみの管理は避けます。

C項目・D項目(投資・体制)は90日プランへ繰り越す

30日で全項目をYesにする必要はありません。C・Dは90日プラン(Day31〜120)に繰り越します。重要なのは「30日後の時点で、Noのままの項目について是正計画書を持っていること」です。取引先から照会が来た際、「★1自己宣言済み」または「★1取得に向けて90日以内に対応計画あり」と回答できる状態を作ります。

★1自己宣言で済ませず、★3を目指す場合

大企業との取引で★3の格付けを求められる場合は、SECURITY ACTIONで★1の状態を確立した上で、その後★2→★3とステップアップしていきます。★2取得には1〜3ヶ月、★3取得には4〜6ヶ月が目安です。

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「自己評価シートを見たがNoが多すぎて手が止まった」「文書整備の方法がわからない」「取引先に出す回答書の書き方がわからない」といった個別相談を、初回60分無料でお受けしています。情シス365のセキュリティ運用支援では、自己評価サポートから★3取得まで一貫対応します。

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よくある質問

何も準備していない企業はどこから始めますか?

自己評価からです。★1・★2はIPAの「SECURITY ACTION」に基づく自己宣言なので、企業が自力で着手できます。まず「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で現状を粗く把握します。

最初の3日で何をしますか?

①IPAのチェックリストを入手し、あわせてSCS★3の要求事項26件・評価基準81件を入手して将来のギャップを把握、②回答責任者を1名決めて社長から正式に任命、③現状を「Yes/No/不明」の3択で粗く回答する、という流れです。

自己評価のコツは何ですか?

Yesと言い切れない場合はNoまたは不明にすることです。「やっているつもり」「多分Yes」を避けます。3日で全項目を一巡することが目的なので、深く考えずに進めます。

Noの項目はどう扱いますか?

A(設定すれば即解決:既存ツールの設定変更だけで対応可能、1日〜1週間/MFA有効化、Defender for Business有効化)、B(文書化が必要:運用はしているが文書がない、1〜2週間)、C(新規導入が必要)に分類します。Day11〜20でA項目を即時実施し、Day21〜30でB項目の文書を整備します。

まとめ

SCS評価制度に未着手の企業がまずやるべきは「自己評価シートの粗い回答」です。Noになった項目を4分類(即解決/文書化/投資/体制)で整理し、A・B項目を30日で潰すことで★1自己宣言の体制を構築できます。完璧を目指さず、まず動き出すことが取引機会の損失を防ぎます。