認証基盤の統合はIT-PMIの土台です。メール統合もファイルサーバー統合も業務アプリ統合も、すべてこの上に載ります。まず現状把握で両社の構成を洗い出し、統合パターンを選定してから着手してください。スケジュールはユーザー数・アプリケーション数・GPOの複雑さで大きく変動するため、IT-DDの段階で見積もることが重要です。
認証基盤統合がPMIの土台になる理由
M&A後のIT統合で最も重要な基盤が認証基盤(Active Directory / Entra ID)の統合です。メール統合、ファイルサーバー統合、業務アプリケーション統合のすべてが、認証基盤の上に構築されるためです。
認証基盤が分かれたままでは、ユーザーは複数のID・パスワードを使い分ける必要があり、セキュリティポリシーの統一も困難です。統合ロードマップの初期段階で認証基盤の方針を決定することが、その後の統合作業をスムーズに進める鍵となります。
統合前の現状把握
認証基盤統合を計画する前に、両社の環境を正確に把握する必要があります。以下の項目を調査します。
- AD構成:フォレスト数、ドメイン数、OU構造、サイト構成
- Entra ID構成:テナント数、カスタムドメイン、ライセンス種別(P1/P2)
- ドメイン構成:UPNサフィックス、DNSゾーン、ドメインコントローラーの配置
- グループポリシー(GPO):適用中のGPO数と内容、競合の有無
- SSO連携:SaaSアプリとのSSO設定、SAML/OIDC連携先の一覧
- 条件付きアクセス:MFA要件、デバイス準拠要件、ネットワーク制限
M&A後のIT統合(IT-PMI)は、Phase1-2が50万円からご支援可能です。メール・認証基盤・ファイルサーバー・デバイス管理の統合を100日で進める型をご用意しています。
IT-PMI(M&A後のIT統合) を見る →統合パターンの比較
| パターン | 概要 | メリット | 適用場面 |
|---|---|---|---|
| AD信頼関係→フォレスト統合 | フォレスト信頼を構築後、ADMTでユーザーを移行し、最終的にフォレストを統合 | オンプレ資産が多い環境で実績豊富 | 両社ともオンプレADが中心の場合 |
| Entra ID B2B→テナント統合 | B2Bコラボレーションで共存し、クロステナント同期を経てテナントを統合 | クラウドネイティブで移行がシンプル | 両社ともクラウド中心の場合 |
| ハイブリッド段階移行 | オンプレADをEntra IDに移行しつつ、テナント統合を並行実施 | クラウド移行と統合を同時に実現 | 片方がオンプレ、片方がクラウドの場合 |
オンプレAD統合の手順
両社がオンプレミスActive Directoryを運用している場合の統合手順です。
- フォレスト信頼の構築:双方向のフォレスト信頼を構築し、リソースへの相互アクセスを有効化
- 名前解決の設定:条件付きDNSフォワーダーを設定し、相互のドメイン名を解決可能に
- ADMTによるユーザー移行:Active Directory Migration Tool(ADMT)でユーザー・グループ・コンピューターを移行
- SID履歴の保持:sIDHistoryを活用して、移行中も旧ドメインのリソースにアクセス可能な状態を維持
- GPOの統合:両社のGPOを比較・統合し、新しいOU構造に適用
- 旧フォレストの廃止:全オブジェクトの移行完了後、旧フォレストを段階的に廃止
Entra ID統合の手順
クラウド中心の環境では、Entra IDのテナント統合を行います。
- クロステナントアクセス設定:両テナント間でB2Bコラボレーションを有効化し、ゲストアクセスを許可
- クロステナント同期(組織間同期):ユーザーを自動的に相手テナントにプロビジョニング
- SSO連携の移行:被買収側テナントのSaaSアプリSSO設定を統合先テナントに再構築
- 条件付きアクセスポリシーの統一:MFA要件・デバイス準拠ポリシーを統一基準に揃える
- ユーザーの本移行:ゲストユーザーをメンバーに変換、またはユーザーを再作成
- 旧テナントの縮退:ライセンスを解除し、テナントを廃止
ハイブリッド環境の段階的移行
片方がオンプレAD中心、もう片方がクラウド中心という場合は、以下の段階的アプローチが有効です。
- Phase1:オンプレ側にEntra ID Connect(旧Azure AD Connect)を導入し、ハイブリッド構成を実現
- Phase2:B2Bコラボレーションで両テナント間の共存環境を構築
- Phase3:オンプレADのワークロードをEntra IDに段階移行(GPOをIntuneに置換)
- Phase4:両テナントの統合を実施し、単一の認証基盤に集約
統合スケジュールの目安
| パターン | 期間 | 複雑度 |
|---|---|---|
| Entra ID B2B→統合 | 1〜3か月 | 低〜中 |
| AD信頼関係→ADMT移行 | 3〜6か月 | 中〜高 |
| ハイブリッド段階移行 | 6〜12か月 | 高 |
スケジュールはユーザー数・アプリケーション数・GPOの複雑さにより大きく変動します。IT-DDの段階で正確な見積もりを行うことが重要です。
BTNコンサルティングの支援
BTNコンサルティングでは、IT-PMIサービスとして認証基盤統合を包括的に支援しています。
- IT-DD段階での認証基盤の詳細調査と統合方針の策定
- M365テナント統合と連携した認証基盤統合の実行支援
- オンプレAD→Entra IDのクラウド移行を統合と並行して実施
- IT統合プロセス全体のプロジェクト管理
よくある質問
なぜ認証基盤の統合が最重要なのですか?
メール統合、ファイルサーバー統合、業務アプリケーション統合のすべてが認証基盤の上に構築されるためです。Active Directory / Entra IDの統合がPMIの土台になります。
統合前に何を把握しますか?
AD構成(フォレスト数、ドメイン数、OU構造、サイト構成)、Entra ID構成(テナント数、カスタムドメイン、ライセンス種別P1/P2)、ドメイン構成(UPNサフィックス、DNSゾーン、ドメインコントローラーの配置)です。
どんな統合パターンがありますか?
フォレスト信頼を構築後にADMTでユーザーを移行し最終的にフォレストを統合するパターン(両社ともオンプレAD中心の場合に実績豊富)と、Entra ID B2Bでコラボレーションを有効化してからテナントを統合するパターンがあります。
どのくらい期間がかかりますか?
Entra ID B2B→統合が1〜3か月(複雑度は低〜中)、AD信頼関係→ADMT移行が3〜6か月(中〜高)、ハイブリッド段階移行が6〜12か月(高)が目安です。