情シス代行とは
情シス代行とは、企業の情報システム部門(情シス)が担う日常業務を外部の専門企業が代わりに行うサービスです。PCのキッティングやアカウント管理、ヘルプデスク対応、セキュリティ監視といった「守りのIT業務」を月額固定で委託できます。
IT人材不足が深刻化する2026年現在、社内に専任のIT担当者を置けない中小企業にとって、情シス代行は即戦力のITチームを低コストで確保する現実的な手段です。従業員300名以下の企業では約40%が「IT担当者が1名以下」というデータもあり、需要は年々高まっています。
アウトソーシングとの違い
「情シス代行」と「情シスアウトソーシング」は混同されがちですが、サービス範囲と関わり方に明確な違いがあります。
| 項目 | 情シス代行 | 情シスアウトソーシング |
|---|---|---|
| サービス範囲 | 日常運用業務の代行が中心 | 戦略立案・企画まで含む包括的委託 |
| 関わり方 | 既存の業務フローを引き継いで実行 | 業務設計から見直し・改善提案を含む |
| 対象企業 | 50〜100名規模、IT担当不在の企業 | 100〜300名規模、IT戦略も含めて委託したい企業 |
| 費用相場 | 月額15万〜30万円 | 月額30万〜60万円以上 |
| 契約期間 | 月単位が多い | 年単位が多い |
| 担当者の関与度 | リモート中心、定期報告 | 常駐 or 高頻度訪問 |
簡単に言えば、情シス代行は「手を動かす」サービス、アウトソーシングは「頭と手の両方を動かす」サービスです。自社に最低限のIT方針があり、実行リソースが足りない場合は代行が適しています。IT戦略そのものから相談したい場合はアウトソーシングが適切です。
情シス代行が求められる背景
情シス代行サービスの需要が急増している背景には、複数の構造的な課題があります。
- IT人材の慢性的不足:経済産業省の試算では2030年に最大79万人のIT人材が不足。中小企業はとくに採用競争で不利
- ひとり情シスの限界:1人で全IT業務をカバーすることは物理的に不可能。退職・休職時のリスクも大きい
- セキュリティ要件の高度化:ランサムウェア対策、ゼロトラスト、SCS評価など、専門知識が必要な領域が拡大
- クラウド移行の加速:Microsoft 365やAWSの導入・運用管理にクラウドスキルが必須に
- コスト最適化のニーズ:正社員1名の人件費(年間600〜800万円)に対し、代行は年間180〜360万円で済む
代行サービスの業務範囲
情シス代行がカバーする一般的な業務範囲は以下の通りです。
| 業務カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|---|
| ヘルプデスク | PCトラブル対応、ソフトウェアの使い方サポート、パスワードリセット |
| アカウント管理 | 入退社時のアカウント作成・削除、権限変更、ライセンス管理 |
| PC管理 | キッティング、OS・ソフトウェアのアップデート管理、資産台帳管理 |
| ネットワーク管理 | 回線・Wi-Fi管理、VPN設定、障害対応 |
| セキュリティ | ウイルス対策ソフト管理、EDR監視、パッチ適用、インシデント初動 |
| クラウド運用 | Microsoft 365管理、Google Workspace管理、SaaS設定変更 |
| バックアップ | バックアップ設定・監視、リストアテスト |
| ベンダー管理 | IT機器・サービスの見積取得、契約管理、障害時のベンダー連絡 |
費用相場
情シス代行の費用は、対応範囲と企業規模により異なります。2026年現在の相場は以下の通りです。
| プラン | 月額費用 | 対象規模 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| ライト | 15〜20万円 | 〜30名 | ヘルプデスク+アカウント管理(週2日対応) |
| スタンダード | 25〜35万円 | 30〜100名 | ライト+PC管理+セキュリティ(週5日対応) |
| プレミアム | 40〜60万円 | 100〜300名 | スタンダード+ネットワーク管理+月次レポート+IT企画支援 |
参考として、IT担当者を正社員で雇用した場合の年間コストは600〜800万円(給与+社保+教育費)。スタンダードプランなら年間300〜420万円で同等以上の品質を確保できます。
選定時の5つのチェックポイント
- ①対応時間と応答速度:平日9〜18時対応が標準。障害時の初動対応時間(SLA)を確認。30分以内の応答が望ましい
- ②対応チャネル:電話・メール・チャット・リモートデスクトップ対応があるか。社員が使い慣れたチャネルで問い合わせできることが重要
- ③セキュリティ体制:ISMS認証(ISO 27001)の取得有無、NDAの締結、アクセス権限の管理方法を確認
- ④引き継ぎプロセス:現状のIT環境を正確に把握するアセスメントの有無。引き継ぎ期間が短すぎるサービスは要注意
- ⑤レポーティング:月次の対応レポート、インシデント報告、改善提案の有無。「やりっぱなし」でなく見える化されていること
導入のメリット・デメリット
メリット
- コスト削減:正社員雇用の40〜60%のコストで専門チームを確保
- 属人化リスクの解消:チーム体制で対応するため、担当者の退職・休職に影響されない
- 専門知識の即時活用:セキュリティ、クラウド、ネットワーク等の専門家にすぐアクセス可能
- コア業務への集中:IT雑務から解放され、本業に集中できる
- スケーラビリティ:事業拡大・縮小に合わせて柔軟にプラン変更可能
デメリット
- 社内にノウハウが蓄積されにくい:業務を外部に出すことで、社内のIT知見が薄くなるリスク
- コミュニケーションコスト:外部チームとの連携に慣れるまで一定の時間が必要
- カスタマイズの限界:パッケージ型サービスでは自社固有の業務に対応しきれない場合がある
デメリットを最小化するには、月次レポートの共有と社内にITリエゾン(窓口担当)を1名置くことが効果的です。
BTNの情シス365サービス
BTNコンサルティングの「情シス365」は、ひとり情シス・情シス不在の中小企業に特化した情シス代行サービスです。Microsoft 365環境の運用を軸に、ヘルプデスクからセキュリティ監視まで包括的にカバーします。
| プラン | 月額 | 内容 |
|---|---|---|
| ライト | ¥180,000 | ヘルプデスク+アカウント管理+月次レポート |
| スタンダード | ¥350,000 | ライト+PC管理+ネットワーク管理+IT資産管理 |
| セキュリティパック | ¥450,000 | スタンダード+EDR監視+脆弱性診断+インシデント対応 |
| フルサポート | ¥600,000 | セキュリティパック+IT企画支援+ベンダー管理+BCP策定 |
まとめ
情シス代行は、IT人材不足に悩む中小企業にとって最もコストパフォーマンスの高い選択肢です。アウトソーシングとの違いを理解し、自社の課題とフェーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。まずは現状のIT業務を棚卸しし、外部委託すべき範囲を明確にするところから始めましょう。