SaaS乱立の現状
中小企業でも平均30〜50個のSaaSツールを利用しているというデータがあります。Microsoft 365、Slack、Zoom、freee、Salesforce、Notion、Canva…部門ごとに自由に導入した結果、全社でいくつのSaaSを使っているか把握できていない企業がほとんどです。
SaaSの年間支出は従業員1人あたり約12〜24万円。100名企業なら年間1,200〜2,400万円。このうち20〜30%が無駄なコスト(未使用ライセンス、重複サービス、退職者アカウント)というのが一般的です。
SaaS管理を放置するリスク
- コストの無駄遣い:使われていないライセンスの自動更新、退職者のアカウント料金の支払い継続
- セキュリティリスク:退職者が社外からSaaSにアクセスできる状態が放置される。機密データの持ち出しリスク
- シャドーIT:IT部門が把握していないSaaSに会社のデータが保存される。情報漏洩の温床
- コンプライアンス違反:GDPR・個人情報保護法の観点で、データがどのSaaSにあるか把握できていない状態は問題
- 業務非効率:同じ目的のツールが複数存在(例:SlackとTeamsの両方を利用)し、情報が分散
SaaS棚卸の5ステップ
Step 1:全SaaSの一覧化
クレジットカード・銀行口座の明細、経費精算データ、各部門へのヒアリングからすべてのSaaSを洗い出します。Entra IDのエンタープライズアプリケーション画面やGoogle管理コンソールのサードパーティアプリ一覧も活用。
Step 2:利用状況の確認
各SaaSのログイン頻度・アクティブユーザー数を確認。管理画面で利用状況レポートを取得できるSaaSが多いです。30日以上ログインしていないアカウントは「未使用」と判定します。
Step 3:重複サービスの排除
同じ目的のSaaSが複数あれば統合を検討。典型的な重複例:
| 目的 | 重複例 | 統合先候補 |
|---|---|---|
| ビジネスチャット | Slack + Teams | Microsoft Teams(M365に含む) |
| Web会議 | Zoom + Teams | Microsoft Teams |
| ファイル共有 | Dropbox + OneDrive + Box | OneDrive/SharePoint(M365に含む) |
| プロジェクト管理 | Asana + Trello + Planner | Microsoft Planner(M365に含む) |
| アンケート | Googleフォーム + SurveyMonkey | Microsoft Forms(M365に含む) |
Step 4:契約の見直し
年払いと月払いの比較(年払いで10〜20%割引が一般的)、上位プランから下位プランへのダウングレード、ライセンス数の適正化を実施。
Step 5:継続モニタリング
四半期に1回のSaaS棚卸を定例化。新規SaaS導入時の承認フローを整備し、野良SaaSの発生を防ぎます。
コスト最適化のポイント
- ライセンスのダウングレード:全員にE5は不要。一般社員はE3、フロントラインワーカーはF3に
- 年払い契約への切り替え:年払いで10〜20%のコスト削減
- M365への統合:チャット、Web会議、ファイル共有、タスク管理をM365に集約すれば、個別SaaSの契約を削減可能
- 未使用ライセンスの即時解除:退職者や部署異動者のライセンスを自動回収する仕組み作り
シャドーIT対策
シャドーITとは、IT部門の許可なく社員が独自に導入したSaaSやアプリのことです。対策は以下の3つ:
- CASB(Cloud Access Security Broker)の導入:Microsoft Defender for Cloud Appsで非認可SaaSの利用を検知・制御
- SaaS導入承認フロー:新規SaaS利用にはIT部門の承認を必須に。Power Automateで承認ワークフローを構築
- 社員教育:シャドーITのリスクを定期研修で周知。「使いたいツールがあればIT部門に相談」の文化醸成
SaaS管理ツール比較
| ツール | 特徴 | 費用目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| ジョーシス | SaaS管理+IT資産管理の統合。日本語UI | 月額3万円〜 | 50〜300名の中小企業 |
| マネーフォワードIT管理クラウド | 経費データとの連携でSaaS支出を自動把握 | 月額5万円〜 | マネーフォワード利用企業 |
| Torii | グローバルSaaS管理。自動ワークフロー機能 | 要問い合わせ | 100名以上・グローバル企業 |
| Microsoft Defender for Cloud Apps | シャドーIT検知・CASB機能。M365との統合 | E5に含む | M365 E5利用企業 |
Microsoft 365で統合する戦略
Microsoft 365を軸にSaaSを統合すれば、管理コストとセキュリティリスクを大幅に削減できます。M365 Business Premiumには、Teams、SharePoint、OneDrive、Planner、Forms、Power Automate、Intune、Defenderが含まれており、1ライセンスで10以上のSaaSを代替可能です。
BTNの支援内容
BTNコンサルティングでは、SaaS棚卸からM365への統合移行まで一貫して支援します。情シス365のスタンダードプラン以上で、SaaS管理の最適化を継続的にサポートします。
まとめ
SaaS管理の最適化は、中小企業にとって最もROIの高いIT施策の一つです。まずは全SaaSの棚卸から始め、重複排除・ライセンス最適化・M365統合を段階的に進めましょう。年間数百万円のコスト削減とセキュリティ強化を同時に実現できます。