GSSとは

GSS(ガバメントソリューションサービス)は、デジタル庁が提供する政府共通の標準的な業務実施環境です。各府省庁が個別に整備していた業務用PC、オフィスソフトウェア、ネットワーク環境を統合し、ゼロトラストアーキテクチャに基づく安全で効率的な業務環境を政府全体に提供します。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、GSSは政府職員DXの基幹インフラと位置づけられています。

GSSの3層構造

名称概要
第1層GSS業務環境業務用PC(SIM内蔵ノートPC)、OS、オフィスソフト(Microsoft 365)、グループウェア、エンドポイントセキュリティ
第2層GSSネットワーク(論理ネットワーク)各府省庁専用に構築されたオーバーレイネットワーク。府省間ネットワーク(G-Net)を含む
第3層物理ネットワーク基盤光ファイバー等の物理回線。霞が関および全国の拠点・データセンターを接続

ゼロトラストアーキテクチャ

GSSは従来の境界防御型ネットワーク(霞が関WAN等)に代わり、ゼロトラストセキュリティを全面的に採用しています。

  • ID認証・多要素認証:すべてのアクセスでユーザーの身元を検証
  • デバイスの健全性検証:端末のセキュリティ状態(パッチ適用状況、EDRの稼働等)を確認
  • アクセス制御:ユーザーの役割と業務に応じた最小権限のアクセス
  • ログ監査:すべてのアクセスログを収集・分析
  • 場所を選ばない業務:SIM内蔵PCにより、庁舎外(出張先・テレワーク)でも安全に業務遂行

GSSネットワーク(G-Net)

GSSネットワークは、旧「政府共通ネットワーク」を廃止して構築された新しい府省間ネットワークです。広帯域・高品質・低コスト・高セキュリティの閉域ネットワークであり、ガバメントクラウドとの接続もこのG-Netを経由します。

LGWANとGSSの閉域接続回線も整備が進んでおり、地方自治体システムとの安全な連携が本格化しています。

ガバメントクラウドとの関係

項目GSSガバメントクラウド
目的職員の業務環境(PC、NW)情報システムの実行基盤(IaaS/PaaS)
対象府省庁の職員が日常的に利用行政システムの稼働基盤
接続GSSネットワーク経由でガバメントクラウドに接続GSSネットワークからのみ閉域接続可能

GSSが「職員の端末・ネットワーク」、ガバメントクラウドが「システムの実行基盤」という役割分担です。

導入状況

2025年9月時点で16の行政機関でGSSが導入されています。

  • 導入済み:人事院、農林水産省、個人情報保護委員会、こども家庭庁、消費者庁、宮内庁、内閣府、カジノ管理委員会、復興庁、内閣法制局、金融庁、総務省、環境省 等
  • 今後の導入予定:国税庁(2025年9月〜順次)、その他府省庁も協議進行中

約4.5万人が利用し、拠点数は約1,400に拡大しています。

IT事業者への影響

  • 調達構造の変化:各府省庁の個別LAN/NW調達がGSSに統合されるため、従来の個別調達案件は減少
  • 新たな調達機会:GSS共通アプリケーション整備、利用者サポート運用、ヘルプデスクサービス等の調達が発生
  • ゼロトラスト対応スキル:GSSがゼロトラスト前提のため、ID管理、MDM、EDR、クラウドセキュリティのスキルが求められる
  • LGWAN-GSS接続:自治体とGSSの接続案件が今後増加する見込み

まとめ

GSSはデジタル庁が提供する政府共通の業務環境であり、ゼロトラストアーキテクチャに基づくPC・ネットワーク・セキュリティを統合的に提供します。2025年9月時点で16機関・4.5万人が利用しており、今後も導入が拡大します。IT事業者にはゼロトラスト対応スキルとGSS関連調達への対応が求められます。

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BTNコンサルティング 編集部

株式会社BTNコンサルティング|情シス365 運営

Microsoft 365・Google Workspace導入支援、IT-PMI(M&A後のIT統合)、セキュリティ対策を専門とするITコンサルティング企業。中小企業の「ひとり情シス」を支援し、ITの力で経営課題を解決します。