この記事の結論

GSSはデジタル庁が提供する政府共通の業務環境であり、ゼロトラストアーキテクチャに基づくPC・ネットワーク・セキュリティを統合的に提供します。2026年7月末時点で独立行政法人等を含む23機関・約15.4万人が利用しており、今後も導入が拡大します。IT事業者にはゼロトラスト対応スキルとGSS関連調達への対応が求められます。

GSSとは

GSS(ガバメントソリューションサービス)は、デジタル庁が提供する政府共通の標準的な業務実施環境です。各府省庁が個別に整備していた業務用PC、オフィスソフトウェア、ネットワーク環境を統合し、ゼロトラストアーキテクチャに基づく安全で効率的な業務環境を政府全体に提供します。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、GSSは政府職員DXの基幹インフラと位置づけられています。

GSSの3層構造

層名称概要
第1層GSS業務環境業務用PC(SIM内蔵ノートPC)、OS、オフィスソフト(Microsoft 365)、グループウェア、エンドポイントセキュリティ
第2層GSSネットワーク(論理ネットワーク)各府省庁専用に構築されたオーバーレイネットワーク。府省間ネットワーク(G-Net)を含む
第3層物理ネットワーク基盤光ファイバー等の物理回線。霞が関および全国の拠点・データセンターを接続
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ゼロトラストアーキテクチャ

GSSは従来の境界防御型ネットワーク(霞が関WAN等)に代わり、ゼロトラストセキュリティを全面的に採用しています。

  • ID認証・多要素認証:すべてのアクセスでユーザーの身元を検証
  • デバイスの健全性検証:端末のセキュリティ状態(パッチ適用状況、EDRの稼働等)を確認
  • アクセス制御:ユーザーの役割と業務に応じた最小権限のアクセス
  • ログ監査:すべてのアクセスログを収集・分析
  • 場所を選ばない業務:SIM内蔵PCにより、庁舎外(出張先・テレワーク)でも安全に業務遂行

GSSネットワーク(G-Net)

GSSネットワークは、旧「政府共通ネットワーク」を廃止して構築された新しい府省間ネットワークです。広帯域・高品質・低コスト・高セキュリティの閉域ネットワークであり、ガバメントクラウドとの接続もこのG-Netを経由します。

LGWANとGSSの閉域接続回線も整備が進んでおり、地方自治体システムとの安全な連携が本格化しています。

ガバメントクラウドとの関係

項目GSSガバメントクラウド
目的職員の業務環境(PC、NW)情報システムの実行基盤(IaaS/PaaS)
対象府省庁の職員が日常的に利用行政システムの稼働基盤
接続GSSネットワーク経由でガバメントクラウドに接続GSSネットワークからのみ閉域接続可能

GSSが「職員の端末・ネットワーク」、ガバメントクラウドが「システムの実行基盤」という役割分担です。

導入状況

2026年7月末時点で独立行政法人等を含む23機関でGSSが導入されています(2025年7月時点では14機関)。

GSS端末の定義や仕様、利用機関ごとの導入時期と規模、2026年9月の不正アクセス事案については、GSS端末とは|デジタル庁が配布するノートPCの仕様・GSS環境の構成・利用機関の推移で詳しく整理しています。

  • 導入済み:人事院、農林水産省、個人情報保護委員会、こども家庭庁、消費者庁、宮内庁、内閣府、カジノ管理委員会、復興庁、内閣法制局、金融庁、総務省、環境省 等
  • 移行中・移行予定:総務省、環境省、法務省、国税庁(2025〜2026年度)。2026年度の回線調達では財務省も対象機関に含まれる

2025年7月時点で約1,400拠点・約4.5万人だった利用者は、2026年7月末時点で約15.4万人に拡大しています。

IT事業者への影響

  • 調達構造の変化:各府省庁の個別LAN/NW調達がGSSに統合されるため、従来の個別調達案件は減少
  • 新たな調達機会:GSS共通アプリケーション整備、利用者サポート運用、ヘルプデスクサービス等の調達が発生
  • ゼロトラスト対応スキル:GSSがゼロトラスト前提のため、ID管理、MDM、EDR、クラウドセキュリティのスキルが求められる
  • LGWAN-GSS接続:自治体とGSSの接続案件が今後増加する見込み

よくある質問

GSSとは何ですか?

GSS(ガバメントソリューションサービス)は、デジタル庁が提供する政府共通の標準的な業務実施環境です。各府省庁が個別に整備していた業務用PC、オフィスソフトウェア、ネットワーク環境を統合し、ゼロトラストアーキテクチャに基づく業務環境を政府全体に提供します。

GSSはどこまで導入が進んでいますか?

2026年7月末時点で独立行政法人等を含む23機関に導入されており、約15.4万人が利用しています。今後も導入機関の拡大が見込まれています。

GSSとガバメントクラウドはどう違いますか?

GSSが「職員の端末・ネットワーク」、ガバメントクラウドが「システムの実行基盤」という役割分担です。両者は競合するものではなく、GSSからガバメントクラウド上のシステムへはG-Netを経由して接続します。

G-Netとは何ですか?

GSSネットワーク(G-Net)は、旧「政府共通ネットワーク」を廃止して構築された新しい府省間ネットワークです。広帯域・高品質・低コスト・高セキュリティの閉域ネットワークで、ガバメントクラウドとの接続もこのG-Netを経由します。

IT事業者にはどのような影響がありますか?

政府案件に関わる事業者には、ゼロトラスト対応のスキルと、GSS関連調達への対応が求められます。従来の境界防御型ネットワークを前提とした提案では要件を満たせなくなります。

まとめ

GSSはデジタル庁が提供する政府共通の業務環境であり、ゼロトラストアーキテクチャに基づくPC・ネットワーク・セキュリティを統合的に提供します。2026年7月末時点で独立行政法人等を含む23機関・約15.4万人が利用しており、今後も導入が拡大します。IT事業者にはゼロトラスト対応スキルとGSS関連調達への対応が求められます。

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BTNコンサルティング 編集部

株式会社BTNコンサルティング|情シス365 運営

Microsoft 365・Google Workspace導入支援、IT-PMI(M&A後のIT統合)、セキュリティ対策を専門とするITコンサルティング企業。企業規模を問わず情報システム部門の実務を支援し、ITの力で経営課題を解決します。