2月アップデートの全体像
Slackは2026年2月28日、月例の「Feature Drop」として大規模なアップデートを公開しました。今回のテーマは「Better Connections for Every Kind of Work」。AIとデータの接続を強化する技術的マイルストーンと、日常の作業を効率化するUI改善の両軸で構成されています。
中でもMCPサーバーのGA(一般提供)とスプリットビューは、Slackの使い方を大きく変える注目機能です。
AIプラットフォームの進化
MCPサーバーが一般提供(GA)に
SlackのModel Context Protocol(MCP)サーバーがGAになりました。MCPは、AIアシスタント(Claude、ChatGPT等)がSlackの検索、メッセージ送信、Canvas作成などの機能に安全にアクセスするためのオープン標準プロトコルです。
これにより、外部のAIツールがSlack内のデータを直接参照・操作できるようになり、例えばClaudeからSlackのメッセージを検索したり、下書きを作成してSlackに投稿するといった連携が可能になります。
リアルタイム検索(RTS)API
Real-Time Search APIがパブリックAPIとして公開されました。サードパーティアプリがSlackのデータをローカルに保存・インデックス化することなく、リアルタイムで検索できます。プライバシーを保護しつつ、権限に基づいたアクセス制御が適用されます。
セマンティック検索がProプランに拡大
これまでBusiness+以上でのみ利用可能だったセマンティック検索がProプランにも拡大されました。キーワードの完全一致ではなく、検索の意図を理解した「関連する結果」が表示されます。多言語対応で、2語程度の短いクエリでも適切な結果を返します。
AI検索の追加質問機能
AIによる検索回答を受け取った後、新しいアクションボタンからSlackbotとの会話を継続できるようになりました。検索結果を起点に深掘りの質問ができます。
AI除外設定(Enterprise+)
Enterprise+の管理者は、特定のチャンネル、Canvas、リストをすべてのAI処理から除外できるようになりました。除外されたコンテンツはSlackbot AIの検索、AI検索結果、AI要約のいずれにも含まれなくなります。機密性の高い情報を扱うチャンネルに適用することで、AIのデータアクセス範囲を細かく制御できます。
生産性の向上
スプリットビュー(画面分割)
長年要望されていたスプリットビューが実装されました。スレッド、チャンネル、Canvasなどを右側にピン留めし、左側で別のコンテンツを閲覧しながら作業できます。
- 要件ドキュメントを表示しながら別チャンネルで返信
- 2つの関連する議論を並べて比較
- Canvasを編集しながらチャンネルの動向を監視
- 長いスレッドを確認しながら通知を処理
右クリックから「スプリットビューで開く」を選択するだけで利用できます。
ハドルの参加プレビュー
ハドルミーティングに参加する前に、ビデオのプレビューとオーディオ設定を確認できるようになりました。「聞こえますか?」問題を解消します。
サイドバーのオンボーディングタスク
新しいメンバーがワークスペースに参加すると、サイドバーに「やることリスト」(プロフィール写真のアップロード、最初のDM送信など)が表示されるようになりました。リマインダーメールも自動送信され、オンボーディングがスムーズになります。
サイドバーのビジュアル改善
チャンネルのインデント改善、狭いレイアウトでのインテリジェントなブレークポイント、一貫したパディングにより、重要な情報が見やすくなりました。
管理者向け機能
エンタープライズ検索のカスタムコネクタ
社内Wikiやプロプライエタリなツールをエンタープライズ検索に直接統合するカスタムコネクタを構築できるようになりました。組織のナレッジベース全体をSlack内から検索できます。
移行前の一括メール更新
ワークスペースのEnterprise Grid移行前に、管理者ダッシュボードから一括メール更新を設定・確認できるようになりました。移行プロセスの透明性が向上し、エラーを防止します。
⚠️ 監査ログの2年保持ポリシー(4月30日期限)
2026年4月30日から、Slackは監査ログに2年の保持ポリシーを適用します。2年を超えた監査ログは完全に削除されます。これはメッセージの保持やファイルストレージの設定には影響しませんが、規制業界(金融:SEC 5〜7年、医療:HIPAA 6年、政府:DFARS 7年)では重大なコンプライアンスギャップが生じます。
監査ログの2年保持ポリシーの適用が4月30日に迫っています。規制対象業界のお客様は、4月30日までに2年を超える監査ログをエクスポート・保管する必要があります。Slack Audit Logs APIを使用してデータを外部ストレージに退避してください。
Salesforce連携の強化
- Salesforceデータフィールド:CanvasにSalesforceのデータフィールドを埋め込み、ライブデータの双方向同期が可能に
- Salesforceチャンネル自動化:チャンネル作成時にワークフローが自動実行されるトリガーを追加
- リストビュー:標準・カスタムオブジェクトのリストビューをSlack内で直接表示
- レコード編集:Slackの右パネルでSalesforceレコードを直接編集可能
情シスが確認すべきこと
| 優先度 | アクション | 期限 |
|---|---|---|
| 最優先 | 監査ログの2年保持ポリシーへの対応(ログのエクスポート・外部保管) | 2026年4月30日 |
| 高 | AI除外設定の検討(機密チャンネルのAI処理からの除外) | 早急に |
| 高 | MCPサーバー連携のセキュリティ影響の確認 | 利用開始前 |
| 中 | セマンティック検索の有効化確認(Proプラン) | 随時 |
| 中 | OS・ブラウザのサポート終了対応(2026年5月18日) | 2026年5月18日 |
まとめ
Slack 2026年2月のFeature Dropは、MCPサーバーGA、スプリットビュー、セマンティック検索のPro拡大、AI除外設定など、AIプラットフォームとしてのSlackの進化を象徴するアップデートです。情シスは監査ログの2年保持ポリシー(4/30期限)とAI除外設定の対応を優先的に確認してください。