Agent 365とは
Agent 365は、Microsoftが2026年5月1日に一般提供(GA)を予定している、企業内のAIエージェントを一元管理・統制するためのコントロールプレーンです。単体の「サービス」ではなく、Entra(ID管理)、Purview(コンプライアンス)、Defender XDR(セキュリティ)の各機能を統合したエージェント管理基盤です。
Microsoftは社内で「Customer Zero」としてAgent 365を先行利用しており、自社内で50万以上のエージェントをマッピングし、直近28日間で1日あたり65,000件以上のエージェント応答を処理しています。プレビュー段階で既に数千万のエージェントがAgent 365 Registryに登録されています。
なぜAgent 365が必要か
IDC予測では2028年までに13億のAIエージェントが流通するとされ、Fortune 500企業の80%が既にMicrosoftのエージェントを利用しています。AIエージェントが爆発的に増加する中で、以下の課題が深刻化しています。
- 野良エージェント問題:部門ごとに無秩序にAIエージェントが構築され、IT部門が把握できない
- セキュリティリスク:エージェントがアクセスするデータの範囲が管理されていない
- コンプライアンス違反:エージェントの操作が監査ログに残らず、規制対応が困難
- ガバナンスの欠如:人間の従業員には適用されるアクセス制御・監査がエージェントには適用されていない
Agent 365は「AIエージェントを人間の従業員と同等のガバナンスで管理する」という発想に基づいています。
3つの構成要素
| 構成要素 | 機能 | 役割 |
|---|---|---|
| Entra(ID管理) | エージェントへのID付与、条件付きアクセス | エージェントに「誰(何)がどのデータにアクセスできるか」を制御。人間と同じ認証・認可の仕組みをエージェントにも適用 |
| Purview(コンプライアンス) | エージェントの操作の監査、データガバナンス | エージェントが何をしたかの記録、機密データへのアクセス制御、規制対応のための監査証跡 |
| Defender XDR(セキュリティ) | エージェントの異常検知、脅威防御 | エージェントの不審な挙動の検知、悪意のあるエージェントのブロック、セキュリティインシデントへの対応 |
Agent 365は、Microsoft製のエージェントだけでなく、サードパーティや オープンソースフレームワークで構築されたエージェント、パートナークラウド上で動作するエージェントもサポートします。
Agent Registry
Agent 365の中核機能のひとつがAgent Registryです。組織内で稼働するすべてのAIエージェントを一元的に登録・可視化する仕組みで、IT管理者とセキュリティチームが以下を把握できます。
- 組織内で稼働しているエージェントの一覧
- 各エージェントがアクセスしているデータソース
- 各エージェントの利用状況と応答量
- ポリシー違反の有無
価格と提供形態
| 提供形態 | 価格 | 提供開始 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 E7に含まれる | $99/ユーザー/月(E7全体) | 2026年5月1日 |
| 単体アドオン | $15/ユーザー/月 | 2026年5月1日(価格は4月1日発表予定) |
Agent 365はMicrosoft 365 E7に含まれるほか、既存のE5ユーザー向けに$15/ユーザー/月の単体アドオンとしても提供されます。
情シスへの影響
今すぐ検討すべきこと
- 社内のAIエージェントの棚卸し:Copilot Studio、Power Automate、サードパーティツールで構築されたエージェントを把握しているか?
- エージェントのアクセス権限の確認:エージェントがアクセスできるデータの範囲は適切か?
- エージェント利用ポリシーの策定:誰がエージェントを作成してよいか、どのデータにアクセスさせてよいかのルール
- E7への移行検討:E5+Copilot+Agent 365を個別購入するより、E7のバンドルが割安になる可能性
Microsoftは「AIエージェントは人間の従業員と同様にライセンスされるべき」と明言しています。エージェントにもEntra ID、メールアカウント、Teams アカウントが必要になる世界が来ます。情シスは「人間+エージェント」の統合的なID管理・ガバナンスを今から設計しておくべきです。
まとめ
Agent 365は2026年5月1日GA予定の、企業内AIエージェントの管理・統制基盤です。Entra(ID管理)、Purview(コンプライアンス)、Defender XDR(セキュリティ)を統合し、AIエージェントを人間と同等のガバナンスで管理します。エージェントの爆発的増加に備えて、社内の「野良エージェント」の棚卸しと利用ポリシーの策定を今から始めましょう。